宇宙山乾坤院というみるからに壮大な山号である。｢乾坤｣とは天地という意味であり、｢乾｣はいぬい、つまり北西の方角をいい、｢坤｣とはひつじさるだから南西の方角を言うのである。｢天地宇宙｣をいう例えということになる。

聞けば曹洞宗中本山ともいうからこの地方では格式のある寺でもあるようだ。車を降りて総門をくぐると少し上ったところに放生橋というのが見える。山川草木魚獣すべて命あるものを仏とみる仏教、普段人々は木を伐り、魚獣を食す、この殺生を罪障を供養する法会を｢法生会(ほうじょうえ)｣と謂われ、こうした池に放つ行事が行われる。

禅寺の風情を、庭には細かな砂利が敷かれて美しく掃除されている。生憎と山門は現在修復中らしく見ることは出来なかったが、境内の静寂は禅の気風を感じるに余りあるものでもあった。