円福寺 (えんぷくじ)  当勝嶽山円福寺 天台宗

愛知県春日井市白山町9丁目1番3号










JR名古屋駅から中央西線で30分くらい乗ると高蔵寺駅に着く。名古屋市内から車で行くとなれば国道19号線となるが、今や高蔵寺ニュータウンは大きく構成されて名古屋への通勤圏でもある。


通りの角、山門への通り道の碑には「一隅を照らす」とある。傳教大師最澄が比叡の山に一宇一乗止観院を建て、僧侶としてのあり方の決意とを表白した願文にて『悠々たる三界は純ら苦にして安きことなく、擾々たる四生はただ患いて楽しからず。〜中略〜 愚が中の愚、狂が中の狂、塵禿の有情、底下の最澄、〜 無所得をもって方便となし、無上第一義のために、金剛不壊不退の心願を発す』と誓い、山家学生式の中で『国宝とはなにものぞ、径寸十枚国宝にあらず、一隅を照らす是即ち国宝なり』といわれた。その天台の教えである言葉が刻まれている。


ニュータウンの中心に小高い山がある。本堂はその山下に静かに構えられている。何の変哲もない現代風の本堂は小生には余り興味がわかなかったのであるが、その裏から山を登ってゆくと天台特有のお堂が見えてくる。














































































もう何年前になるのか…、12年ぶりという秘仏ご開帳を知って拝観に来たのである。鈴木則之君と親交を深めるきっかけとなったのがこの円福寺の十一面観音菩薩立像である。そうした意味ではここに来るのがいつも楽しい。


うっすらとした陽射しの中、参道を登るのであるが、静かなその道は町のざわめきもなく自分の足音だけがみょうに気持に響く。名もないであろう墓石は崩れにまかせ、竹林は風に音する。山門をくぐって石階段をゆくと広々とした境内にでる。

ほんのりと赤く染まったその顔、十一面観音は木造素地彫眼、鎌倉時代末期から南北朝の作と謂われる。当寺の本尊であるが秘仏とされている、現在は別祀されているのであるが、本来は本堂で不動明王と毘沙門天を脇侍とする三尊形式は天台特有の形式でもある。


本像は頭体幹部を一材から彫成し、これに頭上面や両手など取り付けられている。頭髪など一部に彩色を施した他は全身を素地のまま仕上げ、薄く赤色系顔料を塗った、いわゆる檀像模様の遺例である。体躯は量感をもち端正な面貌や着衣の複雑な衣は洗練された彫り口で刻まれている。


























































































円福寺の地図




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