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《 魚名魚辞 》


旬の魚・料理名・調理法等を 記してあります。







酒の肴

日本料理の酒肴には季節の趣き、色合いを食べ、香りをきく、盛付けを楽しみ、時の移ろいを感じるものです。
そんな酒肴の献立を書いてみました。レシピ御希望の方はメール下されば御連絡致します。





料理の極意! 伝授!


料理の基本


出汁の種類

出汁は料理の根本をなすといってもよいくらいに用途も広く、かつ重要
なものである。材料はカツヲブシ・イワシブシ・サバブシ・煮干・シイ
タケ・昆布などである



鰹出汁
[一番出汁]水5合に昆布1枚を加えて火にかけ、沸騰したならば、昆布を取り除きカツオブシ20匁を入れ再び沸騰したならば鍋を火からおろし、泡をすくい捨て カツアブシの沈むを待ってさらしにて漉す。
〔吸い物・椀盛りなどのつゆ〕
[二番出汁]一度使ったカツオブシを鍋に入れ、水5合と昆布1枚を加えサラにカツオブシ10匁を入れ約5分間火にかける。これを漉す。
〔煮物・煮こみ物・味噌汁〕

鰯出汁
鰹出汁に準じて作ります。但し、2番出汁はとりません。独特の臭みがあるので丹念にアクを取ること。殆どの場合、合わせることによって旨味を増すことにつかいます。
〔味噌汁・麺類の汁〕

鯖出汁
鰹出汁に準じて作ります。これは少々煮沸した方が味が出ます。
〔麺類の汁・ほか〕

煮干し出汁
水に昆布と煮干の頭と腸とを除いて加え、約1時間して昆布を除き火にかけます。煮沸して火を止めた後煮干が沈むをまって漉して使用します。
〔惣菜の煮物・精進の汁物〕

精進出汁
椎茸・干瓢・昆布を水で洗い、鍋に入れてから水から煮沸してから漉す。出汁に使った椎茸・干瓢・昆布は煮物に使います。
〔白味噌、合せ味噌の汁物〕

昆布出汁
水に昆布を三時間ほど漬けて用います。出来うるならば上等の昆布を使用したいものです。
〔精進料理全般に使います〕


清出汁
一番出汁に少量の醤油と塩で加減した汁である。醤油は薄口の方が汁に色がつかないのですましという感じがします。其の上、実の色彩を損なわないので見た目にも美しくも有ります。味の点も淡白である。夏は塩を主とし、冬は醤油がちにするのが原則である。なほ、吸い物には塩加減、椀盛りには醤油を多くします。
〔魚介類の吸い物〕吸い口にはユズ・木の芽などを



醤油の種類

土佐醤油
〔刺身、洗い〕
鍋に醤油・味醂・水に鰹節を入れ煮詰め漉す。

橙醤油
〔ちり鍋、など〕
醤油に橙・柚子・酢橘・レモンなどの絞り汁を加える

胡麻醤油
〔おひたし用〕
いった胡麻を擂鉢で擂って、或いは包丁にて切って出し汁、醤油とあえる

芥子醤油
〔和え物、おひたし〕
醤油に芥子をいれる。出し汁にて好みとする

梅醤油
〔和え物、湯びき〕
裏ごしした梅を醤油に混ぜる

山椒醤油
〔つけ焼き、かけ醤油〕・…焼き魚に
粉山椒と出し汁、醤油をあわせる

祐庵焼き醤油
〔つけ焼き〕
味醂・白醤油・酒を配合します。柚子を輪切りにして加える。材料を2時間ほど付け焼き物にこの醤油をかけながら焼く。(柚子の代りに木の芽をいれるもいい、これは木の芽醤油となります)

雲丹醤油
〔つけ焼き・和え物〕
醤油とは名ばかりで雲丹を溶いたものである。生うにを卵黄だけにて溶く。塩を少量いれます。

付け焼き醤油
〔一般付け焼き〕
味醂(2合)・醤油(3合)、或いは酒(2合)・醤油(3合)を共にひと煮たちさせアクをとる。

照り焼醤油
〔照り焼(濃厚な味です)〕
味醂(2合5勺)・醤油(2合5勺)・葛粉(大さじ一杯)をあわせて火にかけアクをとる。

醤油に香り・濃淡・味の変化を持たせることによって、同じ食材
でも季節等により変える工夫をしたいものですね。



露の種類

八方出汁
〔浸しもの・煮こみ〕
鰹出汁7・白醤油1・味醂1を合わして一度沸騰させて後、追い鰹をして漉す。名前がその機能を示すように、非常に利用範囲が広く、惣菜の煮こみからお浸しへも使われます。手加減すれば付け汁にもなります。

天婦羅露
〔天露・雑煮蒸し露〕
各自独特な割があります。基本的には鰹出汁4・醤油1・味醂1です。

蕎麦露
そば用・水に昆布・サバ節を加え、充分出汁(6)をとり、味醂(1)・醤油(1)を入れひと煮 立ちしたならば漉してもちいる。
料理用・鰹と昆布にて出汁(5)を取り、醤油(1)・味醂(1)を合わす。

割り下
すき焼・鍋用
加減した出汁で、鰹出汁(10)・煮切り味醂(1・5)・醤油(1)が標準です。追出し出汁にて使います。



酢の種類(加減酢)


甘酢
〔つけ酢、漬物〕
酢一合・煮切り味醂一合を合わせる(砂糖でもいい)

二杯酢
〔焼き酢、和え物〕・…焼き魚
酢一合・醤油(白醤油)大さじ2杯


蓼酢:二杯酢に蓼の葉を擂りいれる
みぞれ酢:二杯酢に大根おろしを入れる
松前酢:二杯酢に昆布を漬け、味をやわらげる

三杯酢
〔蔬菜・魚介類の酢の物〕
二杯酢に砂糖を加える

吉野酢
〔かけ酢〕・…味の付き難い物用
酢・味醂・塩をあわせて火にかけ、葛を溶いてくわえ、透明になるのを目安とし冷まして使用

梅酢
〔和え物〕
梅を裏ごしして酢と混ぜます

黄身酢
〔魚介類の和え物〕
吉野酢に卵黄を加える

南蛮酢
〔魚類の漬け用〕
酢・醤油・砂糖をひと煮させ、赤唐辛子、昆布、焼き葱をいれる



味噌の種類

味噌は日本独自なもので、時下醸造の場合を除き辛いものは避
けたほうがよいと思います。


練り味噌
味噌を擂り鉢ですり、味醂・砂糖を加えて弱火にかけ艶の出るまで練り上げる。酒を加えてもいい、多くの加減味噌の根本をなす。


田楽味噌
白の田楽味噌は、白味噌(京都白味噌)に酒・少量の砂糖を加えて弱火にて練り上げる。赤味噌の時は砂糖・味醂・酒にて弱火で練り上げる。
〔豆腐田楽、芋田楽、など〕

辛子味噌
溶き芥子を擂り鉢にてすり、或いは板の上で庖丁の背にてたたき、裏ごしの白味噌にてのばす。芥子味噌のままでしようも有るが、通常はさらに酢にてのばし、酢味噌にてつかいます。
〔和え物など〕

木の芽味噌
木の芽(山椒の若葉)を擂り鉢にてすり白味噌(京味噌)・砂糖を加える。
〔木の芽和え、木の芽田楽、など〕

柚子味噌
柚子の皮のみをおろし金にておろし、白味噌(京味噌)に酒・砂糖をいれて柚子をいれます。少し甘めの方が好まれますね。
〔淡白な材料につけることで引き立ちます〕

胡麻味噌
胡麻は炒って擂り鉢に入れ擂ります。赤味噌でも白味噌でも構いません。
〔和え物。風呂吹きなど〕


辛味料の種類
料理の味を一層引き立てるために用いる辛味料は薬味ともいわれ、味を良くするとともに、毒を消す作用の有るものが多い


卸しワサビ
山葵はかるく荒めのたわしにて洗い、葉を取り除き、葉の方より細かい卸し金でおろします。
〔用途は刺身が第一で、そば・あんかけ物・和え物に〕

卸し大根
大根は皮を剥き、根のほうより用途によっては細目・荒目のおろし金にて汁とともに、或いは軽く絞って用います。
〔焼き物・天婦羅・蒸し物・和え物・(醤油をいれた染めおろしもある)〕

卸し生姜・針生姜
新生姜は布巾で皮を拭きとっておろす。ひね生姜は皮を剥いてからおろします。針生姜は少し水にて晒します。
〔酢のもの・天婦羅・蒸し物・煮物〕

紅葉卸し
唐辛子の種は取りだし、大根に箸で穴をあけそこへ入れます。(二・三箇所)細目のあろし金にてそのままおろす。
〔ちり蒸し・刺身〕

芥子
とき芥子はぬる目の湯にて溶き、少量の酢を入れてかき混ぜます。そのまま蓋をしておいておきます。
〔蒸し物・おでん〕

浅草海苔
浅草海苔を二枚合わせて、外側のみ火にあぶります。細かく揉んだり、刻んで用います。
〔とろろ・そば・茶漬け〕

晒し葱
細かく小口切りにして水に晒して絞ります。あるいは葱を縦に切り目を入れて開き重ねて繊維に沿って細かく切ります。布巾にて包み晒して絞る。
〔吸い物・そば・蒸し物・鍋もの〕





魚のショーケース
旬の魚・料理名




タイ(真鯛)

鯛刺身・鯛刺身松皮造り
鯛昆布〆鯛潮汁
鯛荒煮・鯛骨蒸し



大きなモノでは1b程にもなり20歳の長寿も珍しくはないそうです。実際には二`位が最も刺身向きと言われます。
また鯛の味には大きさの外にあきらかに地域差がみられ、明石など瀬戸内モノが有名である。小エビ類など底生動物を飽食し、複雑な潮流にもまれて余分な脂肪がつかず、よく締まっているからだ。
特に春四月、外海から瀬戸内海に産卵の為に回遊してくる真鯛は、婚姻色と称してその体色が美しい桜色を呈する。これを古くから「桜鯛」と呼び、味も抜群である。
新鮮な鯛なら、なんといっても刺身が一番。皮を付けたままその皮にサッと湯をかけた松皮造りは鯛ならではの食べ方である。
三枚におろしたあとの中骨は、一塩してから湯引きするかこんがり焼いてからそのまま食べても良し、吸い物に使っても良し、熱燗を注ぐも良し。
刺身で剥ぎ取った皮は湯にした後、細かく刻んで晒し葱・紅葉卸・ポン酢のにて食べれば美味しい酒の肴ですね。

さて、タイ科の仲間、つまりスズキ目・タイ科に属するするのはこの他に10種類ほどの魚がいる。キチヌ・ヘダイ・ヨコシマクロダイ・ヒレコダイ・そしてチダイ・キダイ・クロダイである。
「チダイ」は関東ではハナダイとして知られてマダイによく似ており区別し難いが、マダイが黒く縁取りされた尾ビレを持つのに対して、チダイにはこの縁がない。店によってはマダイと称してチダイを売っていたりするから注意する頃ですね。
明らかに異なるのが旬で、マダイが春なのに対してチダイは秋。
「キダイ」は関西地方ではレンコダイと呼ばれ、体色が他のタイに比べ黄味を帯びている。味としてはマダイ、チダイに及ばないものの、幼魚は小鯛といって家庭の惣菜に重宝がられている。
内海にすみ、あまり外海にでない「クロダイ」は雑食性なので磯臭さが強く、血抜きをしっかりして洗いで食べるのが一番でしょうか。

タイと名がつく魚はまだまだたくさんおり、アオダイ・アオブダイ・アコウダイ・イシダイ・イトヨリダイ・イボダイ・キンメダイ・ハマダイ・ブダイ・メダイとなどなど。かれらはみなタイと名のついた全く異種の魚達なのであるが、その数200種以上といわれる。

【正式名称】マダイ : 体長:80センチから1メートル
【分布】北海道以南、瀬戸内海、日本海、東海、房総
【別名】オオダイ(東京)、ホンダイ(関西)、オダイ(福井)
【種類】スズキ目タイ科





イサキ(鶏魚)

イサキ酒蒸し・イサキ塩焼




小さな時は、黄色の線が三筋横に通っているが、成長するにしたがい消滅する。
旬は五月から八月にいたる間で、体の大きいほど美味いとされる。
大きなイサキは刺身にても美味しく、淡白なこしの強い白身は夏の上品な味でもある。
なんといってもイサキの味は塩焼で、少々丸みをおびた形が脂の乗りがいいようである。二杯酢をつけて供すると一層の味を引き立てるものです。

分類上はスズキ目に含まれるが、近海で相当の量が水揚げされるせいか決してスズキのような高級魚として扱われない。
イサキは日本各地から東シナ海にかけて棲息する暖海性の魚だ。とくに太平洋側では暖流の勢力が強い房総以南で多く見られる。

新鮮な旬のイサキなら刺身に尽きる。ただし脂肪が多いため、鮮度が落ちやすいのが難点である。一般的な料理方法は塩焼であろうが、他にも煮物や唐揚げも人気がある。しかし注意したいのは磯魚の特徴として骨が硬く鋭いことだ。その為迂闊に飲みこむと、喉に骨を突き刺しかねないのである。真義は定かではないが、和歌山では鍛冶屋がイサキの骨を喉に刺して死んだという話から、カジヤゴロシなる恐ろしい名まで頂戴している。


【正式名称】イサキ : 体長:40センチ
【分布】本州中部以南、九州、東シナ海
【別名】スジイサキ(相模)、ウズムシ(和歌山)、エサキ(北陸)、コシタメ(静 岡)、ウズ(豊橋)、テンツン(広島)、ハタザコ(鹿児島)
【種類】スズキ目イサキ科





サザエ(海螺)

さざえ刺身・水貝
さざえ白扇揚・つぼ焼き



夏の貝類の代表といえばサザエ、海岸で焼かれるさざえのつぼ焼きの香りはその風景に合わせたように、磯の香りとなって食欲をかきたてます。
もちろん旬は夏で、肝にはりが出てきて肉つきが良くなってきます。
刺身・水貝にする時は、貝からハズした後一度塩にてもみ荒いすると身がしまり、磯臭さを取り除くことが出来ます。




マダコ(真蛸)

蛸刺身・蛸ぶつ・焼き蛸
蛸天婦羅・酢のもの



真蛸の学名オクトバスも「八本足」という意味であるが、実際にはタコにとっては四対の腕なのだそうです。タコの仲間は南極の海から熱帯の海まで世界中に生息しており、沿岸から深海まで分布している。
タコはゆでる前に、たっぷりの荒塩をかけて手でこすぐ様にぬめりを取ります。これを怠ると、茹で上がりに白くぬめりが付いております。

世界中に250種、日本に60種ほどが分布するといわれているマダコ科の軟体動物。種類は多いが、主に食用とされるのはマダコ、ミズダコ、イイダコといったほんお数種類にすぎず、そのうちもっとも多いのがマダコである。マダコの体の構造は一般には余り知られていない。全長40から60センチでその4分の3をよく足と間違われる“腕”の部分が〆ている。つまり胴体が一番上にあってその下に頭があり、そして直接腕が八本出ているという、なんともアクロバティックな体型といわねばならない。

沿岸の岩礁地帯を棲家にして昼間は岩の割れ目などでじっとして潜んでいるが、夜になると行動する。イセエビ、カニなどの甲殻類やアワビ、サザエなどの貝類が好物で、一見のらりくらりしているようでも獲物を捕獲する時の行動は実に機敏で、想像もつかないほど頭脳的な攻撃方法も心得ているのだ。そんなマダコにも天敵はいるものでウツボである。

ところで国内のマダコの産地として有名なのは何と言っても明石と久里浜、常磐であろう。そして旬にしてもそれぞれ見解があり、例えば五島列島や熊本辺りでは春が旬、明石は5月から6月にかけてが食べ頃といわれている。更に北上北上して常磐では秋から冬にかけてマダコが旬を迎える。愛知県三河湾では夏が旬であり、日間が島ではタコの懐石料理が振舞われます。

欧米ではデビルフィッシュとよばれ嫌われているマダコだが栄養面では、良質の蛋白質が豊富で低カロリー。ビタミンやミネラルもバランスよく含み、旨味成分の一つであるタウリンにはコレステロールを減らし、動脈硬化や心臓病の予防、肝臓の働きを活発にするなど優れた働きがある。

【正式名称】マダコ : 体長:40〜60センチ
【分布】本州中部以南、世界の温暖海域に広く分布
【別名】タコ、アカシダコ、アフリカダコ
【種類】頭足類マダコ科





イカ(烏賊)

イカそうめん・鉄砲焼き
イカ飯・松前漬け



500種ほどあり、日本近海には約100種くらい獲れる。イカは魚肉と違う甘味を持ちコウイカ類は肉厚でもっちりとした歯ざわり、ツノイカ類は加工に良く使用される。
保存食・加工品として塩辛・するめ・すり身・醤油(烏賊汁)などを作ります
北陸地方のいじる(烏賊汁)は生のイカに塩漬けして浮き上がった汁を鍋などに使います。いわゆる魚醤で、塩汁(しょっつる)と同種である。


『ヤリイカ』

スルメイカについで漁獲が多いヤリイカは「槍烏賊」と書くように胴体が細長く尾の部分が槍のよう尖っている。そしてヒレは縦長の菱形で体の半分以上を占めている。此れに対してスルメイカのヒレは体の半分である。また両者の目は同じ種類のケンサキイカ同様、透明な膜に覆われている開眼型である。逆にスルメイカの方は膜で覆われていない露出型である。機会があたら見比べるのも楽しい。

そして肝心も胴部だが、乳白色のスルメイカに対してヤリイカは肉が薄く皮を引くと青白く透明度がある。糸造りにすると光沢のある絹糸のようになり、甘味がありとてもまろやかな味である。ヤリイカは沖合いn酸い新150メートルから250メートルの底層にいる。ヤリイカにはほとんど胆がなく塩辛を作ることが出来ない。
かつてはイカはコレステロールが多いと敬遠されがちだったが、最近では良質な蛋白質と低脂肪のため健康食品として見なおされている。医学的にはイカを食べても血液中のコレステロール値はほとんど上昇しないとされる。
これはイカに多く含まれるタウリンというアミノ酸が、たいないでコレステロールの蓄積を押さえている為だ。タウリンはコレステロール調節のほか、中性脂肪を減らし、血圧を正常に保つ。さらにインシュリンの分泌を促して、糖尿病を予防するなどさまざまな働きをして健康に欠かせない。

【正式名称】ヤリイカ
【分布】日本列島沿岸、朝鮮半島
【別名】ヤリンボ(千葉)
【種類】ツツイカ目ジンドウイカ科

『アオリイカ』

一般のイカのイメージと違い、アオリイカはずんぐりした外套膜、胴体を持ちその付け根から先端まで側面にそって丸みをおびた大きなヒレが生えている。
このヒレガアオリイカという名前の由来になっている。俗にヒレを煽って泳ぐ様からその名がついたともいわれるが、本来アオリとは昔の武将が馬の鞍に敷いた楕円形の敷物。その形が似ているためオリイカと呼ばれるようになったという。

アオリイカはそのヒレの形からよくコウイカと間違われることもあるらしい。しかしこの二種類は骨の構造が大きく異なり、しっかりした石灰質の甲を持つコウイカと違い、アオリイカはペラペラした柔らかい骨を持っている。また、体の大きさはかなり違い、胴長16せんち程度のコウイカに対してアオリイカは胴長40センチ前後とやや大きめだ。

アオリイカはバショウイカ、ミズイカ、モイカといった別名を持つ。アオリイカは極めて美味なことで知られる食材です。また店頭に並ぶことは稀なため、西日本では高級種と珍重されている。
身は厚く、柔らかくて豊かな甘味を具えている。刺身で食べるのが理想な食べ方であるであろう。活イカのときはコリコリとした食感も捨て難いが少し間をおくと旨味をより熟成されてくる。この時のねっとりとした歯触りと濃厚な旨味はアオリイカで歯の贅沢な楽しみである。
アオリイカの旨味を十分に堪能するには、刺身を大きめに切るのがコツ。スルメイカやヤリイカなどはイカそうめんもいいが、高級なアオリイカではややもったいないというべきか。醤油には山葵も生姜も合うが、強い甘味にはやはり山葵であろうか。

【正式名称】アオリイカ 体長 : 胴長40センチ以上
【分布】、北海道南部以南、西太平洋
【別名】モイカ、バショウイカ、タツイカ、ミズイカ
【種類】ツツイカ目ジンドウイカ科


『スルメイカ』

魚の名前に「マ」が付く事がある。マサバ、マアジ、マイワシなどといった具合だ。マがつくのは日本或いはその地方で最もポピュラーな種類である。イカの仲間にもマイカがいる。それがほかでもないスルメイカである。

スルメイカは、その外観からしてお馴染みで細長い体に三角の耳。10本の足のうち長い二本を突き出した格好はまさに絵に書いたようなイカだ。
マいかの名前にふさわしくスルメイカ科は世界で最もたくさん漁獲されるイカの種類である。
産地が太平洋側と日本海側にわかれるのは、二系統のスルメイカがそれぞれの漁港を潤しているからだ。冬に南日本方面の沿岸で生まれる系統が「冬生まれ群」、此れに対して秋に東シナ海や西日本近海で生まれるのが「秋生まれ群」と呼ばれる。 黒潮に乗って北上して三陸沖に達するものと、対馬海流にのって山陰から北陸、東北、北海道と北上する。いずれのイカも北限に達する頃がちょうど産卵期である。すると今度は、生まれ故郷の南を目指して南下し始める。こうして北への旅を折り返して南に戻ったイカは産卵を済ませると同時に一生という短い生涯を終えるのである。

調理方法がそのまま名前となっているスルメイカだが、実はスルメにするならケンサキイカの法が美味、スルメイカを使ったスルメは2番目に美味しいということで二番スルメの名前でも呼ばれるから何ともややこしい。

【正式名称】スルメイカ 体長 : 30センチ
【分布】日本近海各地、千島列島
【別名】マツイカ(関西)トンキュウ(九州)ツツイカ、マイカ、ムギイカ、フユイ
【種類】十腕目スルメイカ科


『コウイカ』

本州中部以南の沿岸に広く分布しており、浅い砂泥底を好んで棲息して大きな群れを作ることもない。普段エサとなるのはエビやシャコなどの甲殻類のほか貝類や小魚などである。しかしこのコウイカはおっとりした泳ぎ方に似合わず荒食いする性質でもある。その為コウイカを調理解体すると小鯛やエビなど意外なものが現れ驚かされる事がある。

その身はぶ厚く刺身や寿司種として人気が高い。最も最近は安価な輸入の冷凍物が出まわっており、一般にモンゴウイカと総称されている。中華料理の食材としてよくみかけるのもこのモンゴウイカである。

南九州や沖縄では、コウイカの仲間でコブシメといわれるイカも水揚げされている。こちらも生で食べると、もちっとした食感と濃厚な甘味がおいしい。その為沖縄では高級食材として珍重されている。当地へ訪れた際は是非賞味したい一品でもある。

【正式名称】コウイカ
【分布】本州中部以南、九州
【別名】ハリイカ、ホンイカ、カブトイカ、、スミイカ
【種類】コウイカ目コウイカ科





カキ(牡蠣)

酢牡蠣・レモン和え
土手鍋・牡蠣鍋・グラタン



イタボガキ科の二枚貝の総称。種類は非常に多く、分布範囲も広い。カキは雌雄同体でマガキなどは卵性で雌雄性がはっきりして性転換をする。
胎生のものは生殖腺に卵子精子ができ個体、環境によって適応する。イタボガキなどはこれで生殖腺が白く、みな雄ののようにみえる、其の為“牡蠣”という字があてられた。産卵期は大体が夏である。
古くから食用にされ『日本書紀』『延喜式』に名がみえる。その養殖も水産物の中でももっとも早くローマ時代BC一世紀、中国では宋の時代、日本では古く1673年安芸の国で始められた。
カキは普通春から夏にかけての繁殖期には食用としないが、イワガキはその時期味が良くなる。
カキは酸味とよく合い栄養素も高く、鉄分・ビタミンB2が多く含まれる。血中コレステロールを減らす働きのあるタウリンも多く、カリウムも多い。 カキの美味しさと関係のあるグリコーゲンが含まれ、体内でエネルギー源になる。
的矢ガキは無菌ガキといわれ、これは紫外線殺菌灯で無菌にした水を流しているプールで、カキを20時間飼育したものである。カキが海水を体内に取り入れ、排出し終えるのが18時間である性質を利用したものである。




アワビ(鮑)

水貝・酒蒸し・うろ漬け
バター焼き・ステーキ



アワビは磯の香りとともにコリコリした歯触りが、加熱したものではその柔らかさが好まれる。種類により硬さは違い、料理も其々にてきしたものに使います。
腸の塩辛は“うろ漬け”と呼ばれ酒の肴として絶品です。
日本各地の沿岸に分布しており、水深50b位の潮の流れのよい褐藻の多い岩礁地帯すむ。内湾や内海にはいない。
夜行性でワカメ・コンブ・アラメなどの褐藻類を食べる。産卵前の夏が味が最もよい。なほ、アラビは青みのものは(アオガイ)、赤みのものは(メガイ)というが、色からの俗称で雌雄とは関係ない。
三重県国崎では毎年6月になると、白衣の村人が熨斗アワビを作って伊勢神宮の神に捧げます、神饌として出されるものです。




ウニ(雲丹)

焼きカゼ・いちご煮
刺身・炊込み御飯



生きているものは《海胆》塩辛にしたものは《雲丹》の字があてられます。
食用とされる主なウニは
ムラサキウニ・・…北海道南部から南の各地でみられる。トゲは長く黒紫色で産卵期は夏。
バフンウニ・・…全国的に分布して、トゲは細く短い。殻径は4・5センチと小さく産卵期はハ春である。
エゾバフンウニ・・…北海道・東北地方北東部に多く、殻径は7・8センチと大きく、産卵期は夏から秋。
ウニは生殖巣(卵巣・精巣)を食用にするが、卵巣の方が黄色みが強く、味も優れている。加工品では塩漬け、アルコール・調味料で熟成した塩辛、練りウニなどがある。




キス

キス塩焼・干物
天婦羅・唐揚げ



塩によく調和するので、味付けは淡白過ぎると思われるくらいにすると、よくその特徴を発揮する。
旬は夏と冬であって、時候の味覚にふさわしい味になっている。


魚偏に喜ぶと書いて「キス」、江戸時代以降、キスは産後や病後の快気祝によく利用されたという。その為この字が当てられたとも言う。たしかにキスは脂質やカロリーが低く、あっさりした蛋白質は病み上がりには格好の食材とも言える。

キスは北海道以南の海域に多く分布しており日本人にとっては馴染みの深い魚でもある。特に初夏から秋にかけて、砂の多い海岸の波打ち際まで近づいてくる事がある。その為、釣りの初心者にとっては格好の獲物とされてきた。

キスにも様々な仲間がいる。九州以北で一般にキスといわれるのはシロギスのことです。日本沿岸、から東シナ海の沿岸まで広く分布している。沖縄ではシロギスがいない代りに外見がよく似ているモトギスがいる。また、それとならんで棲息しているのがホシギス。こちらはキスの仲間としてはややずんぐりした体型が特徴だ。

この他日本近海で馴染みの深い仲間にアオギスがいる。名前のとおり体色がやや青みを帯びている。第二背鰭に黒い斑点が並んでいるのが特徴である。また体長が30センチのシロギスに比べてアオギスは40センチと大ぶりである。

【正式名称】シロギス : 体長20〜40センチ
【分布】ほぼ日本全土の沿岸
【別名】マギス、シラギス(東京)、キスゴ(四国・九州)
【種類】スズキ目キス科




サヨリ(針魚)

サヨリ刺身・酢のもの 黄味酢和え・清まし汁


細長く、銀青色したスマートな魚で、肉は淡白であるが少々青魚特有なくせを持つ。
刺身にはいろいろな形に包丁して供する。例えば細く切って糸造り、それを一本づつ曲げて寄せ中心にわさびを盛って菊造り、斜めに切って笹造り、その他にわらび造り、藤造りなどである。
旬は年中余り変わらないと言われるが、初夏の頃が一番脂ののりがいい。

細長い体と突き出た舌アゴが特徴のサヨリ。スリムな魚はなんら珍しくも無いが鋭い舌アゴをもつ魚は歯かにはいない。その舌アゴ成長と共に突き出てきどんどん長くなってくる。この下アゴのおかげで水族館でも飼育の難しい魚といわれる。

とはいうものの、下アゴの先端にはほんのりと口紅をさしたように赤い斑点があり、くっきりと縁取りされた目はとても愛らしい。釣り上げた時のきらきらしたとした銀色の体は惚れ惚れするほど美しく、春の魚のうちで最も気品高く感じられる魚でもある。ただし寿命は二〜三年と短い。
その短い人生を、サヨリは日本各地の沿岸を回遊しながら群れを成して泳いでいる。

家庭では刺身、塩焼、天麩羅、フライなどにすると淡白な味が楽しめるだろう。体に張りが合って銀色が綺麗に輝き、腹が黄色くないものを選びたい。内臓の粘膜が真っ黒なので、下処理のときこれをキレイに取り除く事。
酒の肴としては酢のものも相性がよく、身に塩をかるく振り少々ねかし、これを生酢で洗うようにしてから盛りつける。付け合せのきゅうり・若芽・茗荷などと一緒にサッパリと戴きます。

【正式名称】サヨリ : 体長:30〜40センチ
【分布】北海道以南の全国沿岸
【別名】カンヌキ(東京)サイレンボウ(茨城)ショウブ(越後)ヤマキリ(和歌山)ヨロズ(兵庫)
【種類】ダツ目サヨリ科




アジ(鯵)

刺身・たたき・なめろう
塩焼・唐揚げ・オランダ煮



年中味の変わらないのが特徴であるが、特に美味いのは初夏より晩夏にかけての間で、大きさから云えば小アジの頃で、江戸の名物夏の夕河岸にあがる小アジは通人の晩酌になくてはならないものであった。
時により脂ののりがわるいアジにあたることがありますが、そんな場合一度片栗粉をまぶして揚げます。出汁に醤油・砂糖・生姜汁をれて揚げたアジを煮あげ、おろし大根を盛って食べてみてください(オランダ煮)
アジを刻んで茗荷・さらし葱・味噌・七味唐辛子などで味を整えれば(なめろう)これはお茶付けにも美味しさを発揮します。

一口にアジと言っても、その種類は多い。アジ科に属する魚は全部で140種を越えるほどである。日本近海でもマアジ、ムロアジ、シマアジ、カイワリ、シマアジ、マルアジ、アカアジ、など約20種が棲息している。普段我々がアジと呼ばれるのは「マアジ」だ。体側中央にゼンゴといわれる固い屈曲しながら並んでいる点。此れは食卓でもみなれた特徴です。
ただしマアジも生態の違いから二種類に分けられる。一つは内湾や沿岸に定着するキアジ、もう一つは沖合いを広範囲に回遊するクロアジである。両者はそれぞれ生息地に因んで地アジ、沖アジともいわれる。素人目にはキアジとクロアジは別種にみえるが、分類学上は同一種の魚。生態の違いで姿が変わってしまっただけの話である。

処が魚屋に並ぶ段階になると、この二つは扱いが大きく違ってくる。内湾で暮らすキアジは周年を通じて充分なエサを食べている為栄養が行き届いており、回遊魚のクロアジより格段に美味しいのだ。したがってクロアジが主に干物など加工に回されるのに対して、キアジはタタキや刺身、塩焼用にされている。
成長の度合いは一年で体長14cm、二年で20cm、三年で24cmといったところ、5〜6年を越えてん家には30センチを越えるものもざらではない。

【正式名称】マアジ 体長 : 40センチ
【分布】太平洋・大西洋の温帯から熱帯、温暖性の回遊魚、
【別名】アカアジ、トツカワ、ヒラアジ(和歌山)トパ(土佐)ゼンゴ(四国)
【種類】すずき目アジ科




イワシ(鰯)

刺身・酢のもの・膾
塩焼・紅梅焼・辛煮


鰯の旬は8月から10月にかけてが最も美味しく、春先、三月頃も美味しいといわれます。カタクチイワシは秋から冬にかけてが美味しく、ウルメイワシは冬期が旬で乾物にすると本味があらわれる。
イワシの水洗いは包丁の背で鱗を取り、以後手で頭と腸を取り除き、指頭で骨を外します。軽く塩をしてシソの葉をひき梅肉を挟んで焼き上げます(紅梅焼)
新鮮なイワシを酒・生姜・水・酢だけで煮上げるとサッパリとした夏の逸品になります。
酒。味醂に一晩付けて陰干しした醤油干しもいかがでしょう。

故事に依れば、紫式部もイワシを好んでいたという。しかし平安初期・中期、イワシはすでに貴族の食卓にふさわしくない下魚と考えられていた。そこで式部は夫の目を盗んでイワシを焼かなければならなかった。そもそもイワシという名も一説では「卑しい」が転化してイワシになったとも言われる。

さかな偏に弱いと書くとおり皮膚が弱々しくウロコが剥がれやすい。実際にイワシは海水から取り出すと死んでしまう。まさに弱い魚と呼ぶにふさわしいといえるか。弱いものほど群れたがるといい慣わす通り、イワシは大群をつくって行動する。毎年水揚げされる膨大なイワシのうち人間が食べるのは、ここ十数年の平均で約20パーセント弱、残りはというと肥料や飼料に加工され消費されると言う。

現在、生魚・干物にしても食卓に上がる事も少なくなってきたこのイワシも最近はいろいろな意味で状況が変わりつつあると言うのだ。イワシのもつ栄養価が見直されている。コレステロール値を下げるEPA(エイコサンペンタエン酸)、そして何より頭が良くなると評判のDHA(ドコサヘキサエン酸)が話題となっているからだ。

【正式名称】イワシ : 体長 25センチ位
【分布】樺太、オホーツク海、日本各地
【別名】ナナツボシ(東北)、ネコモリ(富山)、ヤシ(福島)オイザサ(越後)
【種類】ニシン目ニシン科





キンキ・キチジ(喜知次)

煮つけ・塩焼
かまぼこ・ちくわ






フサカサゴ科の海水魚、推進150bから500bぐらいの深海にすむ。北海道から三陸沖・駿河湾まで分布する。背鰭に大きな黒い斑点があり、全長30センチにもなる。産卵期は春で、冬に多く獲れ旨味も増す。

頭の背面や眼の下に強い小棘がならぶ、体は鮮やかな赤色で、背鰭の棘条部に大きな一黒斑点がある。尾鰭の後縁はほぼ直線状である。 オキアミ類、エビ類、魚類、クモヒトデなどを食し雄12〜17センチ、雌は15〜20センチで成魚となる。

比較的深いところで分布しており、底引き網、延縄で捕獲されている。肉は白身で脂質に富み煮付けにして美味である





サバ(鯖)

鯖たたき・締め鯖
塩焼・味噌煮・船場汁



鯖にはマルサバ(本サバ)とゴマサバがあります。秋サバといって珍重するのは旬の本サバで、ゴマサバは夏が美味い。
万菊自慢の<サバのたたき>は三枚にして一度軽く塩をし、(薄皮を剥きません)水洗い後、酢に裏表10分位付け、食する直前に皮だけ強火にて焼き,生姜醤油にて食します。

江戸時代、大名達は七夕のお祝いとして刺しサバを将軍家に献上する習慣があった。刺しサバとは開いたサバを塩漬けして片方の頭をもう一方のエラから差入れたものである。これが中元の始まりとも言われております。

さて日本近海で獲れるサバにはマサバ、ゴマサバの二種類である。胴切りにした時の形からマサバはヒラサバ、ゴマサバはマルサバとも言われております。サバは活発な回遊魚で、水温10度から22度くらいの澄んだ水帯に棲息し、食欲旺盛でイワシなどの幼魚などのほか小甲殻類などを食べます。
なんでもサバの胃袋は食べたもので常にパンパンにはっているほどだといわれる。 しかし、貪食の割にはサバの歯は小さい。そこで、小さいを意味するサと歯をあわせてサバと呼んだのが語源とも言われます。

生で食べる場合は、必ず塩を振ること。何故なら、サバにはアレルギー反応を起こす物質アレルゲンが含まれており、塩で〆たり食酢に付けるとこれが取り除かれる。また塩や酢でしめないとあたることさえある。シメサバを作る際にも、必ず塩を振りたい。いきなり酢につけるとサバのタンパク質が解けてしまい、身がどろどろになってしまうからである。

【正式名称】サバ : 体長:40センチ〜50センチ
【分布】日本各地の沿岸海域
【別名】ホンサバ(各地)、ヒラス(長崎)、サワ(富山)、サバコ(関西)、ホシサバ(関東)
【種類】スズキ目サバ科




シマアジ(縞鯵)

寿司ネタ・刺身
塩焼・マリネ



体高が高く、側帯に一本の黄色縦帯がある。主として魚類を餌とし、産卵期前の五月頃が旬である。大きな物では1メートルくらいになるそうで、秋から冬にかけての磯釣りの対象魚でもあります。
東北地方以南の暖海に分布して、定置網などにて漁獲されています。近年市場価格が高くなり、養殖されるようになった。種苗生産も行われている。
類似種に“ヒラアジ”があります。体長も小さく刺身・塩焼などにて食します。味は共に脂がのってぽん酢醤油などにて食べると程よいでしょう。




カンパチ(間八)

カンパチ刺身・塩焼
カンパチ塩引き



鰤を平たくした形をしており、腹の部分に黄色の縞模様がある。これの幼魚をシオと呼び、成長すると1b近くにもなるが、5・60センチくらいが最も美味いとされる。旬は初夏から初秋までの間である。
味にくせはなく、肉にはしまりがあり歯ざわり、舌ざわりをも楽しむ。この魚は脂肪が強いので酢を用いて料理すると、その本味を発揮する。

カンパチの分類は、スズキ目アジ科ブリ属となる。うまそうな名前ばかりが並んでいるが、カンパチもとくに美味なことで知られる。カンパチは暖かい水を好む暖流魚。ブリより高い水温を好み東部太平洋を除いた世界中の暖流に生息している。にほんでは東北地方以南の海に広く分布しているが、日本海側にはあまりいない。

暖流を好むカンパチは、夏を旬に迎える。ちょうどブリとヒラマサはの旬のあいだを埋めてくれるようなタイミングで、実に気がきいた魚といえる。更に釣りの好機となるのも夏。したがって釣り人にとっては二重の楽しみを味わう事が出来る魚でもあるのだ。
モジャコと呼ばれる稚魚は南日本海域の産卵場所、ブリとそっくりな黄金色をしている稚魚は流れ藻について暮らすところも同じだ。現在よく出回っている養殖カンパチはこのモジャコを捕獲して大きく育てたものである。

カンパチの幼魚は両目の周囲からやや後方の背中にかけてくっきりとした黒い縞があるのが特徴だ。左右の縞はそれぞれ背中の中央に向っている為、真上から見ると頭に「八」の字が書いてあるように見える。なにをかくそう、これがカンパチの名前の由来でもある。

美味で知られるアジ科の中でも、カンパチはとりわけ人気が高く、コリコリした歯触りを供える身、適度に濃厚な脂は酒の肴として好まれる。
夏が旬とされるカンパチだが、其の他の季節でも味の楽しみはある。六月頃からショウゴと呼ばれる幼魚、秋に獲れるカンパチモそれぞれ十分な味わいをもっている。

【正式名称】カンパチ : 体長 最大1・5bに達する。
【分布】本州中部以南の太平洋側
【別名】ショウゴ(和歌山)、シラノコ(富山)、ヒヨ(相模、シオ(愛知)ニリ(宮崎)
【種類】スズキ目アジ科





カツオ(鰹)

鰹たたき・鰹擂流し
鰹酒盗・鰹マリネ



旬については存外無関心であるが、旨味で言えば八月であろう。
土佐など温暖地では四・五月の初鰹が美味い。江戸の初鰹、例の青葉の候の鰹はいまだ脂がのっておらず淡白過ぎると思われる。
食味の上からみるならば、新鮮な硬直前、或いは硬直後はまだ本味があらわれず、少々アミノ分解を始めたくらいがいいのは体の大きな動物の通有性に合致する。しかしながら分解は早く、物流の不便な昔にあって毒消しの目的を持つ辛子やニンニクを使ったのは先人の智慧であろうか。
鰹の酒盗は胃の部位の塩辛で酒に合うところからこの名が付く。

カツオのなまり節あるいはカツオ節は、古くから日本人の食卓に味わいうを添えてきた食材だ。刺身で食べるようになったという時代のほうが新しく、鎌倉以降のことだといわれている。カツオは一年をとして日本近海を回遊する。その為季節の訪れを告げる魚としても、親しまれ「目に青葉 山ほととぎす 初カツオ」という句は、そんなカツオと日本人の関係を象徴している。

それでもカツオの旬は地方によって異論があり、たとえば三陸。早春に九州、四国、小笠原に姿をみせるカツオは対馬海流にのって北上した後、三陸沖で引き返す。こうして南に向い始めたカツオがいわゆる戻りカツオ。戻りカツオは初カツオより更に脂がのって三陸沖で最も美味しくなると言われる。

一方、土佐の一本釣りで有名な高知、紀伊半島の那智勝浦では旬も異なる。初カツオよりしばらく間をおいた夏のカツオのほうが好まれる。味の違いは、やはり脂ののり具合ということらしい。

普段は時速20k、最高速度100kに達するという。カツオ特有の赤身や血合い肉は、この激しい運動のために酸素を大量に消費する筋肉でもあるのです。

【正式名称】カツオ : 体長:50センチ以上
【分布】北海道以南の太平洋側
【別名】カツ・ヤツ(宮城)、カツウ(小名浜)、カツトウ(土佐)、サンセンボウ(伊豆)
【種類】スズキ目サバ科




スズキ(鱸)

鱸洗い・刺身
潮汁・塩焼・塩釜・奉書焼



幼魚をフッコ、次いでセイゴとなり、成長してスズキと呼ばれる出世魚で、縁起を祝う魚でもあります。
五月から九月までの魚で淡白な味は塩によく合う性質を有する。
卵白・水を入れた荒塩でスズキ一匹を丸ごと包みオーブンで焼き上げるスズキ塩釜 は最もその性質を美味く仕上げた逸品であろう。
名古屋では夏になると、伊良湖水道のスズキ釣りは有名で梅雨の水を飲んだスズキは特に有名である。

全身を青みがかった銀色に輝かせるスズキは、その精悍なスタイルが人気が高い。また、1メートルにも達する大型にも成長するので釣り人にも堪えられない魚でもある。
こうしたスズキの魅力は、平安時代の昔から評判だったらしい。日本の魚には珍しいスズキ以外の地方名をもたないのも、古くから美味な魚としてスズキの名が知れ渡っていたためだという。

中国人もまた、この魚にちゅうもくしていたらしい。中国の古い文献に、スズキの美味を称える漢詩が伝えられている。平安時代のスズキの食べ方は膾中心だたが、これは中国から伝わった料理方法だ。やはり中国人もスズキをいかにおいしく食べるか工夫していたのだろう。

産卵は秋の終わりから冬にかけて、沖合いで行われる。孵化した稚魚は、春先にかけて河口付近へ押し寄せる。この頃のエサはアミなどだ。夏が来る頃には体長10センチほどに成長し、小エビや小魚を食べるようになる。そして川の上流へと遡るように棲息地を移動していくのだ。やがて秋が訪れると、川で大きくなった若魚は海へと戻り始める。そしていよいよスズキに成長して出世を極めるのである。





ブリ(鰤)

刺身・照り焼
かぶら寿司・大根焚き



俗に出世魚と言われ、関東ではワカシ・イナダ・ワラサ・ブリといわれ、関西ではツバス・ハマチ・ワラサ・ブリなどと大きくなるにつれて呼び名が変わります。
若魚はカタクトイワシなどの小魚・オキアミうを餌として、成魚はイワシ・サバ類など浮魚を餌とします。3年ほどで60センチ位になり成熟します。
冬になると尾鷲の定置網にかかかってくるブリが旬で正月料理には欠かすことが出来ません。北陸地方では冬になって雷が鳴り出した頃に網にかかるブリは美味しく、“ブリおこし”等と言われています。




アマエビ(甘海老)

刺身・すし種




正式名はホッコクアカエビ(北国赤蝦)日本海沿岸・ベーリング海・北大西洋に広く分布する。性転換するエビで小さい時はすべて雄ですが、成長したものはすべて雌である。
生食するとプリッとした歯ざわり、とろけるような甘味が特徴である。
北海道・新潟・富山・石川・福井などで秋から春にかけて多く獲れる。




ボタン(牡丹海老)

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